この記事は、私がなぜ今さら E-M5 Mark ii を一眼デビューの愛機に選んだかを、検討したライバル機種との比較や個人の偏見、考え方をたっぷり含んで淡々と綴った後編になります。
まとめはそれっぽく書いていますが、これから一眼デビューを考えている方の参考にはならないかと思います。あしからず。気になる方は前編の記事からご覧ください。
- 前回の復習
コンデジでは物足りなくなった迷うp主は、旅のお供として連れ出す一眼デビューの購入を決意。予算は10万円前後。
ときには鉄道撮影も行うことから、盲目的にCanonとNikonの一眼レフを比べ、NikonのD5500+SIGMAの高倍率ズームの組み合わせに狙いを定める。しかし購入の直前、自らの撮影スタイルや用途を見つめ直し、ミラーレス一眼を含め再検討することに。後編の今回は、D5500 VS ミラーレスの選考のなかで感じた各社の印象、そしてE-M5iiの決定打を語ります。
- 後の相棒、OLYMPUS
- E-M5 Mark ii に一直線?
- 同門のライバルPanasonic
- 猛攻SONYのコスパ最狂一眼 α6000
- 最終ジャッジ。E-M5iiの決め手は?
- もしオススメするなら・・・? 初心者から見た各社の長短
実は再検討を始めるまで、「画素」も「F値」もまともに知らないまま一眼レフを選ぼうとしていました。自分に必要なデビュー機を見定めるためにも、ここに来てようやく「カメラについて最低限の知識を持ってから挑もう」という姿勢になりました。
今回の検討に絡んでくる要素だけ、ちょっぴり補足。詳しくは各自お調べください。
☆センサーサイズ
本体の性能。フルサイズ>APS-C>マイクロフォーサーズ。基本大きいほど暗所に強く、ボケやすく、本体とレンズは大きく重くなる。NikonのD5500はAPS-C。
☆焦点距離
レンズの性能。写真に映る範囲の目安。センサーサイズが小さいほど、同じ焦点距離でも映る範囲が狭くなる(望遠寄りになる)ので注意。焦点距離が可変なズームレンズと、不可変な単焦点レンズがある。
☆F値
レンズの性能。小さいほど光を取り込める量が増え、ボケやすく、大きく重くなる。f値が2.8のズームレンズは最上級品の目安。
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後の相棒、OLYMPUS
画像は価格.comより引用。
オリンパスはファッション重視のPENシリーズ・硬派なOM-Dシリーズの2ブランド、5系統5種のモデルを揃える盤石の体制。マイクロフォーサーズ規格を採用。手ぶれ補正をボディ側に搭載し、どんなレンズをつけても常時強力なサポートを得られます。
- O-MD 最上位機E-M1系。中堅機E-M5系。エントリー機E-M10系。
- PEN こだわり派PEN-F。女子向けE-PL系。
この中で目をつけたのは、OM-DシリーズのE-M5 Mark iiとE-M10 Mark iii。
マイクロフォーサーズ規格は、センサーサイズの小ささを活かした
レンズの小ささ
を大きな武器としています。D5500の購入直前、レンズの重さに足止めされた私にとって、強烈なキャッチポイントとなります。おまけに上級レンズの価格も(比較的)安い。
さらに私のハートを掴んだのがボディのデザイン。前回の記事で触れたように、The一眼な見た目よりもオールドライクなデザインが好みな私は、硬派で高級感溢れるOM-Dのシルバーに一目惚れ。ホールド性はイマイチだが、ボタンやダイヤルの操作性は抜群。
オリンパスは下位機種への技術投入も惜しむことがなく、2017年に登場したエントリー機のE-M10iiiは、2015年登場のE-M5iiを一分性能で追い抜いている。
- E-M5ii 手ブレ補正、防塵防滴、操作性
- E-M10iii 暗所性能、測距点の数、軽さ
しかし同時に、登場から間もないE-M10iiiは10万円弱、モデル末期のE-M5iiは10万円強。差額はゼロに近しいほど縮まっており、E-M10iiiの割高感は否めない。センサーの性能は数年で旧式になるのに対し、手ブレ補正や操作性は長期に渡り重宝することになる。
そして私をE-M5iiへ突き動かしたのが、ボディとともに組まれるキットレンズ。E-M10系につくのはダブルズームキット。標準ズームは電動で操作感が最悪。望遠ズームは価格の割に映りはいいとの評判だが、質感はおもちゃ。
それに対し、E-M5系はf2.8通しの標準ズームと高倍率ズームのどちらかを選べる。これから一眼を始める人向けのずぼら、エントリー機からの乗り換えに適したf2.8通しと、ふたつの窓から客層を取り込む。ミドルクラス機として最高の戦略ではないか。前回の記事で挙げた通り、私の撮影スタイルでは初期装備に高倍率のずぼらレンズが好ましい。
こうして、オリンパスからはE-M5 Markiiが選考にエントリー。
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E-M5 Mark ii に一直線?
ここで選考したE-M5iiが最終的に愛機となるわけですが、この地点ですでに超有力候補となっていました。前回一眼レフの中で最適解と踏んだD5500は、ここで早くも敗北してしまったのです。
オリンパス(E-M1系を除く)の最大の弱点とされるのがAFの追従性。動体撮影の苦手なミラーレス機の中でもとくに貧弱。しかし、D5500でライブビュー撮影を行う際の鈍足AFと比べればはるかに快適。
連写はAF固定で10コマ/秒。手ぶれ補正はボディ側に搭載され、効果も5段分と強力。ふたつのダイヤルに多くのカスタムボタン、電子ファインダーも使い勝手がよい。本体の重さはD5500とほぼ同じ400g台で、サイズはやや小柄。
ずぼらズームはダブルズームキットの焦点域をカバーしながら、マイクロフォーサーズの強みを体現する285gの軽さ。2倍のデジタル補正ズーム(デジタルテレコン)を用いれば、換算600mmまで撮影可能。D5500でずぼらズームを求めれば、ボディと同じかそれ以上の重さになってしまいます。
そして何よりそのデザイン。オールドライクで高級感たっぷり。ホールド性は物足りないものの、マイクロフォーサーズの小さなレンズなら問題なし。デザインは人それぞれの好みですが、持ち歩いてカメラを構えるだけでもワクワクしそう。
しかし決定にはまだ早い。同じミラーレス機のライバルたちが待ち構えています。
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同門のライバルPanasonic
多くのYouTuberが使っていることで有名なLUMIXシリーズ。クッッソお高いGH5なんかはYouTubeを見ている方なら嫌でも耳にするかもしれません。
パナソニックはオリンパスと共同でマイクロフォーサーズ規格を採用している、身内のライバルな存在。4系統6機種をラインナップして、品揃えはキヤノンと並んでややこしい部類。
パナソニックの強みは動画性能。YouTuberが好むだけのことはありますね。一眼動画の撮影も考えている私は心が動かされそうになります。
写真撮影時のAF性能もオリンパスの上をいっている。画質はやや落ちるものの、4Kサイズの写真を秒間数十コマ撮影できる連写性能(4Kフォト)が、エントリー機種にも搭載されています。
10万円前後のモデルとしてはGX7MK2、GX8、G8の3機種。後継機種が発表された影響で現在は大きく価格が変動していますが、私が検討していた頃は
- GX8 14-140mm高倍率ズームキットで10万円台前半
- GX7MK2 12-32mm標準ズームキットで7万円台
- G8 12-60mmズームキットで10万円台後半
といった感じだったと思います。
G系(G8)はE-M5系のライバルとなるミドルクラス機。某仙台の鉄道系動画作者さんが使用しています。性能は確かなものの、キットレンズでは焦点距離が物足りず、レンズを変えると予算オーバー。ちなみに後継機のG9は性能・サイズ・価格ともハイエンド機の域に達してしまった模様。もうこれわかんねぇな。
面倒なのがGX系統。E-M10系統のライバルとなるパナのエントリー機(のはずなのだが・・・)。
発売順としては(GX7→)GX8→GX7MK2(→GX7MK3)。GX7とGX8は、トヨタのシエンタとパッソセッテの関係に例えられるでしょう。え、分かりにくい?
E-M5系より少し大きなグリップ部を有し、硬派なレトロデザインのOM-Dに対し、シンプルで機能性を優先したデザイン。シルバーも選択可能。無駄のないデザインの代償として電子ファインダーが光軸からズレているが、まぁ慣れの問題だろう。
GX8は時に問題児扱いされる不遇なカメラ。その理由は、エントリー機にも関わらず先代機から大型化・高級化路線に走ってしまったこと。防塵防滴対応などにその一端が見て取れる。キットレンズは高倍率ズームのみで、私にとっては嬉しい。
肝心の性能はエントリー機の域を超えられず、E-M5iiと比べてしまうと劣り気味。特にネックなのは手ぶれ補正。パナソニックはもともとレンズ内補正を採用し、近年になってボディ内補正の強化に取り組んできた。GX8はその発展途上期のモデルであり、手ぶれ補正非搭載のレンズではE-M10系に及ばない。どんなレンズでも手ぶれ補正の効くオリンパス機と比較すると、選べるレンズに制約が生じてしまう。踏んだり蹴ったりとなってしまった。
GX7MK2はどうだろう。GX8の廉価・小型化モデルであり、GX7の第2の後継機。基本性能は据え置きだが、ボディ内手ぶれ補正が進化。GX8より価格も抑えられ、E-M10系とのエントリー機対決では十分優位に立てる実力を手にした。
しかしこのGX7MK2、エントリーモデルにも関わらずダブルズームキットが与えられていない。12-32mm電動ズームレンズのキットに、安い望遠ズームを買い足すと価格は9万円台。総合的には優秀なカメラですが、E-M5iiのお得感には敵わず敗北。
ここ数年、カメラ業界で波に乗っているメーカーといえばソニー。現地点で唯一のフルサイズミラーレスをラインナップし、キヤノンなどの一眼レフからシェアをガンガン奪っています。
猛攻のソニーが有する、コスパ最強のミラーレスがα6000。APS-Cセンサーと惜しみない性能を与えられたミドルクラス機ながら、ダブルズームキットで8万円台前半。一眼レフのエントリー機並の価格で売られている。
特筆すべきは同クラスでは圧倒的な小型軽量。APS-Cセンサー搭載機ながらボディは344g(バッテリー等含む)。それでいてグリップはE-M5iiよりも大きく、ホールド感は抜群。ボディだけでなく、付属の標準ズームを含めた一部レンズもマイクロフォーサーズ以上に小さい。望遠レンズやずぼらズームはAPS-C相応の大きさとなるものの、ボディの軽さで相殺されてしまう。
ソニー機は動体撮影にも定評があり、ミドルクラス機ながら最高水準の追従連写を武器とする。同価格帯で匹敵する性能は中古でもなければ手に入らないでしょうな。
ただし、安さの代償がまったく無いとは言いきれない。登場は4年前の2014年春。タッチパネル非対応、ボディ内手ぶれ補正も非搭載。
α6000には、すでに後継に相当する機種がふたつ登場しています。AF性能がさらに向上したα6300、タッチパネルとボディ内手ぶれ補正を武装したα6500。それでもα6000が売られ続けるのは、未だに高水準な性能と量産による低コスト化への信頼の証。後継2機種も併売されていますが、予算10万円では手が届きません。α6300とか何のためにいるんだよ。
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最終ジャッジ。E-M5iiの決め手は?
E-M5iiに惚れた私も、α6000の軽量・高コスパには足止めされました。家電屋でもE-M5iiとα6000の両方の見積もりを出し、小一時間悩みました。
そして最終的に、E-M5iiを導入。この選択に大満足しております。
最後の決め手は、見た目と使い心地でした。
・・・は?
α6000は小型軽量の代償として、ミドルクラス機としてはボディが安っぽい印象を受けてしまいました。操作性もE-M5iiに比べると見劣り。ファインダーは小さく覗きにくい。ソニーのミラーレスのデザインが好きな方は多いものの、私にとってはやや抵抗がありました。
個人的に一番気になったのは、シャッターボタンの感触。ここまで比較したカメラが固く明確な押し心地があるのに対し、α6000は緩め。某店で触った個体に至っては、半押し認識がおバカになっている始末。
E-M5iiの重厚感とデザインは、旅の相棒として持ち歩くだけでも特別な気にさせてくれる、そう感じてしまったのでした。
結局一目惚れやんけ。あほくさ。
ちなみに本当のことを語ると他にも選んだ要因はいくつか。
マイクロフォーサーズなら高級レンズも価格・サイズ的にいつか手が届くかなーと思えたこと。ソニーはC・Nと同じく高級レンズはフルサイズ頼りで、高いしでかいし話にならん。
マイクロフォーサーズはオリパナ2社のレンズから選び放題。Eマウントのなかの、APSC向けの小型レンズは限られてしまう。
そしてマイクロフォーサーズには、普通なら値段の高いレンズばかりの広角域で、1万円を切る超格安軽量レンズがあります。このレンズに惹かれ、初期投資で買ってしまったのですが、この話はまたそのうち。
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もしオススメするなら・・・? 初心者から見た各社の長短
いくら性能が良くても、重かったり愛着が湧かなければ持ち運ぶ気にはなれません。そうなればいくらコスパのいいカメラでも宝の持ち腐れ、価格優位性も不満に飲まれてしまいます。
そうならないために私から言えるのは、先入観は捨てて自分が本当に相棒に求めるポイントを明確にすること。自分の感性には正直になること。そして、最初の相棒はぜひ手にとって確かめてから検討することでしょうか。
私はニコンやオリンパスが使いやすいと思いましたが、キヤノンやソニーが合う人もいるでしょう。私は高倍率ズーム(またはダブルズーム)が用途に合い、優先して考えてきましたが、最初から単焦点や標準ズームに絞って作品づくりに浸りたいという人もいるでしょう。
フィルムカメラを愛用する人がいるように、息絶えたペンタックスQやNikon1も、自分の感性に当てはまったのなら使い込んであげればいいのです。
各々の必要とする用途・自分にあった使い勝手など性能への価値観、デザインへの思い入れ度合いなど、カメラの評価は人の感覚・センスによって様々。
結局最後に決め手となるのは、感覚的な部分なのかもしれませんね。
他人のレビューなんて気にせず、自分の感性に従うのです。こんなデビューしたての奴のだらだら語りなんて見てないで、実機を触りに行けということ。
ただしひとつ言えるのは、考えなしにキヤノンやニコンのエントリー向け最新一眼レフでデビューするのはオススメしないということ。初心者向けの一眼レフは、ミラーレスに取って代わられる目前に来ています。現にキヤノンは先日、エントリー一眼レフの代名詞「Kiss」の名を、新型のミラーレス機に与えました。
あなたのまわりで一眼レフを勧める人は、すでに使い込んである程度時間の経った人たち。レンズや知識の資産がない駆け出しの私達は、自由で真っ白な感性のもと、固定概念に囚われず好きに選べばいいんです。
α6000然り、ミラーレスというレッテルを剥いでしまえば、今やエントリー一眼レフの性能を利便性ゆうに超える、個性豊かなミラーレス機たちがあなたの一眼デビューを待っていることでしょう。
ひとことまとめ(今一眼デビューするなら?あくまでひとりの駆け出し初心者の視点から。)
- キヤノン 中古のKiss(Wズームキット)を買って戦況を見守るか、EOS-Mの猛追に賭けて新機種KissMか。
- ニコン ミラーレスの戦略が不透明で正直選びにくい。コスパの高いD5000番台の新古か中古を買って戦況を見守る。
- ペンタックス 実機を見たことがないので分かりません。ミラーレス市場での躍進は望めそうにない。
- ソニー コスパ最重視ならα6000で決まり。ただしフルサイズ機が好調過ぎてAPS-Cを見捨てる可能性アリ。
- オリンパス E-M5iiは廃番、一部店舗で在庫切れ。これから考えるのならE-M10iiiが現実的。
- パナソニック 新機種GX7MK3の値下げ待ちもいいが、今ならハイミドル機G8がお買得。廃番・在庫切れになる前に急げ。
- 富士フィルム クセが強いが固定ファンは多い。フジ独特の魅力に惹かれたら他社に選択肢はないかも。
- 望遠や超広角が不要なら、高級コンデジという選択肢も考えてみよう。